「つづく。」(by中村梅雀)




暖かくなってきた。
世間一般の人々はこれを歓迎するものだが、私は逆。
寂しさ、やりきれなさ、切なさを感じてしまう。
ちょうどその時期が別れの時期であるのも関係なくもないが
何よりこの「非日常」にどっぷり浸かれる「楽しみ」が
また9か月もの間、お預けになってしまうことが、
何とも言えない寂しさを連れてくるのだと思う。
こんな素敵な季節はずっと続けばいいと思う。
実際今日、朝方は「何だ、まだまだ当分大丈夫じゃん。」
と思っていた。
しかし昼過ぎのゲレンデ下部で、朝には感じなかった
ゆるさなどの「違和感」を足下に感じてしまうと、
季節の移ろいを認めざるを得ない。
「今日が最後。」と自分に言い聞かせながらの
今季「ラスト・クルージング」となった。
ゆるくなったとはいえ、最上部2,120 m、
最下部でも 1,557 mという標高のため、雪質は最高。
板を踏み込み、サクサクと思いどおりのラインを描いて
風と共に標高差560mを「落ちていく」気持ちよさ、
切羽詰まっている仕事を「帰ってからの宿題」として
体をコントロールすることだけに集中する心地よさを
4時間ちょっと、心の底から楽しんだ。
また今年の暮れ、ここに戻ってきたい。
今まではそれを当たり前のことと思って待っていたが、
この頃はちょっと考えが変わってきた。
またここに戻ってくるためには、そうなることができる
自分にしておかなければならない。
この膝の違和感を和らげ、ほかにもガタが来たり、
衰えたりしている体をメンテして9か月後に備える。
滑り続けることができる状態に自分をしておきながら
来季も引き続きこの心地よさを味わえるようにしたい。
ということで、来季に
「つづく。」(by中村梅雀)