「ふわっとした民意」は恐ろしい。

20150717oioi

1年前、現政権が集団的自衛権を閣議決定した時、
その1年後に同じ政権がそれを法制化しようとしたら
ここまでボコボコに叩かれるなんて誰が思っただろうか。

3年前、新国立競技場のデザインが現行案に決まった時、
着工直前になってここまで叩かれ、
ゼロベースで見直しになるなんて誰が思っただろうか。

「ふわっとした民意」は恐ろしい。
その国の向かう先を、ちょっとしたきっかけと
ゆるい「空気感」だけでいとも簡単に、
180度、ひっくり返していく。
1年前には現政権を手放しで礼賛していたのに、
ここに来て現政権を叩くようになった人たちとメディアは
一体どういう心境の変化があったのだろうか。
まさか、何だかんだ言ってくらしが何も変わらない、
そんな日々の不満の矛先、というだけで
現政権叩きに向かっているのだとしたら、
何と虚しく、情けないことだろうか。

今、本当に憂うべきことは、
「得意気な顔したこの国のリーダー」が
私が誇りに思っているこの祖国を
権力者がひとたび「シロ」と言えば、
どう考えても黒いものがそれは「シロ」となり、
「クロ」と言えば「クロ」となってしまう、
そしてそれをとがめるものがまったくなくなるという
まるで隣の隣の国のような情けない国に貶めつつある、
そういうことではないだろうか。

日本国憲法 第98条第1項
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
同第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

「いいのか?」
「おかしいだろ?」

その辺を踏まえた上で、信念と覚悟をもって
「得意気な顔したこの国のリーダー」を追究しなきゃ。

新国立の問題だってそうだ。
デザインが発表された時は無関心だった人たちが
今や急に「あんなものいらない」運動。
私は個人的には、
あのデザインがいいと信念を持って選んだのなら、
あのコンセプトとあのデザインでいいのでは、と思う。
「国立」なのに日本人のデザインではないところや
維持費がどれだけかかるかわからないところなど
(例えば豊田スタジアムの可動式の屋根のように
後で維持費が工面できないから今後は動かさない、
なんてことになっては情けない。)
何とも言えない部分もあるが、
世論の「空気」で「ゼロベースで見直し」なんてされて、
日本のどこにでもあるような、国体に合わせて作った
何の面白みもなく、普段は誰も寄りつかないような
薄っぺらく安っぽいスタジアムが出来上がる方が残念だ。
「空気」をそのような方向に誘導した人たちは
そんなポンコツが出来上がって満足なのだろうか。
これから何度となく訪れるであろう私にとっては
そんなポンコツスタジアムこそいらないってものだ。

「ふわっとした民意」
それは恐ろしく、また情けないものだ。
信念ある、覚悟ある民意でこの国が動いていくことを
切に願う。