心地よい風、懐かしくおいしい味、心地よい午後。

インド料理を出す店が増え、
ここでもいくつか紹介しているけれど、
初めて本格的なインド料理にふれたのは、学生のころ、
肴町の「ボンベイ」で食べたカレーではないだろうか。
当時カレーと言えば豚肉、ジャガイモ、玉葱、人参という
欧風カレーの流れをくむ「和風カレー」が常識だったころ、
それを打ち砕く本格的なカレー、インド料理の店として
「ボンベイ」は私たちに大きな衝撃を与えたものだ。
不思議なインド音楽、独特の香り、サラサラのカレー、
どれも「自分の知らない世界」のものだった。
カレーはご飯にかけて食すもの、と思われていた当時、
私はナンに手を出すことはなかったが、外から見える厨房で
インド人の料理人がナンを作る姿はとても印象的だった。
そんな「ボンベイ」もいつの間にか姿を消し、
時代は変わるものだと、さびしく思っていた。
しかし、先月SMZさんから驚くべき情報が入ってきた。
「ボンベイ」が予約限定のコース料理の店として、
気賀に復活しているらしい、という情報だ。
奥三河へのツーリングが雨で流れていたこともあり、
ぜひ、半日のミニミニツーリングで行ってみよう、と
昨日、それを決行した。
気賀の市街、幹線道路から外れた高台の上にその店、
「ボンベイ庵」は普通の一軒家のように建っていた。
くつを脱いで上がると黄金色の田園地帯と奥浜名湖が
バルコニーの向こうに広がる素敵なロケーション。
心地よい風が窓から入ってくる中でメニューを見た。
肉・魚料理もカレーも3種類ある中から好みのものを
チョイスできる仕組み。
3人で行ったので、一つずつ選び、シェアすることにした。
一品一品書くと長くなるので割愛するが、一言で言うと
ただの「おいしい」「うまい」でなく、「すごい」だろう。
本格的でありながら、ただのインド風ではない、
シェフの研究や蓄積が味の中に出ている深いものだった。
(手前から2つ)タンドリーチキン、スペアリブ、シーフード、

そしてビーフ、キーマ、チキン、

3種のカレーに「幸福感」を感じた。
付け合わせに出てきた大根のピクルスは、まさに当時のまま。
目を閉じると一気に時間をあの頃に戻してくれるような気がした。
しかし目を開けるとそこは肴町ではなく、気賀の高台。
確実に時は過ぎているのだということを自覚しながら、
その間の自分の時の重ね方はどうだったか、などと思ったりした。
気がつけば2時間近く、普段とちがう心地よい午後を過ごした。
本当にいい時間だったのだが・・・、

なぜか店頭に止めたバイクの中に私のSUPER CUBがなく、
見慣れないスクーターが一台・・・。
これだけが残念である。